TAFE(テイフ)の翻訳・通訳コースを大析

 

オーストラリアには、高校でもなく、大学でもないTAFE という日本には存在しない教育機関があります。既にオーストラリアに住んでいる人にはお馴染みの、
公立の職業訓練専門学校です。大学が理論中心の一方、TAFE は実践的な授業が多いことで人気が高いです。

実際にTAFE の学生に進学動機を聞いてみると、以下の2つの理由が多いようです。

  • オーストラリア人と一緒に勉強したいから
  • スキルを身に着けたいから

TAFE はもともとオーストラリア人のための学校なので、オージー色が強く、例えばノースにあるメドウバンク・キャンパスでは1 万5,000 人の学生が学ぶ中、留学生は
たったの135 人。キャンパスも街の中にあるというのに広大で日本の総合大学のキャンパスかと思うほど設備が整っています。コースもパートタイムを含めると約2,000
もあり、その中でも留学生には100 以上のコースが開催されています。ほかの専門学校では学ぶことができないコースがたくさんあるのも魅力の一つ。授業についてい
けない人をサポートする校内スチューデント・センターは週5日オープンして先生も常勤しているので、留学生にも心強い場所。留学生が100 分の1にも満たない数でも
留学生ケアに余念がないところがTAFE なのです。

現在メドウバンク・キャンパスにある翻訳コースで学ぶタカユキさんは、通訳コースも前タームで受講済みで
今はNATTI 合格を目指して勉強中。通訳・翻訳コースを選んだのは、オーストラリアに来て6 年たったころ。英語力も自分の中で案外話せてる? と自信も着いてきて、
帰国後のこともチラッと考えるようになり、次のステップとして世界中で使えるスキルが欲しいと考え出したのがきっかけ。

タカユキさんが分析する通訳コースと翻訳コースの違いを一言で表現すると、通訳コースは瞬発力、翻訳コースは言葉の言い回しなどの正確さで、それぞれのコースで
必要なスキルは違うけれど、たくさんの単語や専門用語を駆使するので、リサーチ力はどちらのコースにもとても必要なスキル。

入学時より数段英語力がアップしているのは自覚するまでもなく、周りから、普通の留学生では出てこない単語や表現力だねと言われることでも実感。日本語
にはない、“a”“the”などの冠詞もきちんと使うことを心がけ、英語、日本語に限らず、言語を正しく話すことができるようになった点もこのコースならでは。

将来の夢はプロの通訳士。目下NATTI 合格に向けて猛勉強中のタカユキさんですが、オーストラリアでは看護師としての別の顔があり、「時間は作るもの」と
忙しい毎日を送っています。 現在、通訳・翻訳のコースが仕事に役立つというよりは、介護・看護の経験が、通訳・翻訳を勉強するのに役立っているそうなので、既に
社会に出て、再度学び直しの人たちにも説得力がある言葉です。

そんなタカユキさんが、これから何か学びたいと思っている人に貴重なエピソードを語ってくれました。「通訳コースの時に、ワーホリを終了したばかりの2
年目の子がいました。確かに英語のスピーキングに流暢さはないけれど、日本語への訳は知っている日本語を駆使して、感心するほどの日本語表現力で頑張って
いました。来豪して6年以上たっている自分が、頑張ればできるんだということを彼女から学びました。目標があれば絶対大丈夫!10 人以下のアットホームなク
ラスなので、みんなで励まし合いながら頑張れるのもこのコースの良さ。クラスメイトとは日本語で話していてもところどころ英語が混じってしまい、みんなルー
大柴みたいになっています(笑)」とクラスの和気あいあいとした様子も語ってくれた。「例え将来通訳士にならなくても、TAFE で学んだことは他の分野でも必
ず役立つと、自分だけでなくクラスメイトもみんな思っています」と確信に近い答えが返ってきた。

通訳、翻訳コースでは、日本語から英語、英語から日本語の両方を勉強します。 日本語から英語への通訳、翻訳クラスを受け持つのはベテランのナツキ先生。日
本では英語教師という経歴を持ち、オーストラリアでは大学院で通訳・翻訳を勉強してNATTI 取得。卒業後、オーストラリアの会社で通訳の仕事に従事した後、現
在はTAFE の通訳、翻訳クラスの教壇に立ちます。学生からの信頼も高いナツキ先生が心がけているのは、実践力を着けさせることだといいます。実際の現場を
想定した練習を中心に基礎をしっかり教え、卒業時には仕事ができるレベルまで身に着くそうでう。TAFEは一度社会に出てから学び直す人も多いので、バック
グラウンドの違うさまざまな人に出会えて刺激があるという。気になる就職に関しては、日本で仕事をしたいという人には、多くの会社で需要がある通訳コースが
おすすめ。一方翻訳コースは日本だけでなく、E メールで世界中から依頼を受けることもできる点も見逃せない。

今回のインタビューで一番心に残ったのは、タカユキさんの言葉使いのきれいさ。このコースは英語だけでなく日本語も見直すことができるのだと痛感しました。

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