さて今月は、現在日本人の留学生はゼロ! という日本人にはまだまだ無名のコース
「Fabrication Trade」。TAFE でこのコースがスタートしたのは2012 年。オーストラリア
で定住→就職も期待でき、このスキルを持っていれば一生役立つ資格として注目が高まり、
入学希望者が増えているおすすめのコースです。エンジニア関連のコースなので男性ばか
りかと思われがちですが、タイル職人などと違い体力も必要としないことから、先生いわく
「Women? Why Not?」ということですので、自信を持って女性の皆さんにも新しい世界を
ご案内していきたいと思います!
Fabrication Trade というのは耳慣れない言葉ですが、習得す
るスキルは多岐にわたり、主に溶接スキルをはじめ、測定技術、
構造工学などの建築デザインスキルを学びます。このスキルを
習得すると、その後のキャリア選択は幅広く、溶接工、構造工学
士、採掘プロジェクトや市制プロジェクトだけではなく、CAD
の技術も学ぶため、オフィスで工業デザインに携わることも可
能です。私自身もクラス訪問する前までは、ただ溶接作業をす
るというイメージが強かったのですが、すべての構造が計算し
つくされ一枚の鉄板やアルミ板からあらゆる形に変化させる作
業はまるでアートのように素晴らしく、あらゆる物
の原点がここにあるように感じました。ヘッドティーチャーのロッド先生によると、CAD
はもちろんのこと溶接や機械の知識がゼロの初心
者でも全く問題がなく、ほとんどの学生がこの分野
は初心者とのことですが、私がCAD クラスで図面
を見てみると、「本当に初心者でも大丈夫なんで
すか?」と再度疑問が…。でもロッド先生が「本当
に初心者でも大丈夫ということを現役の学生から
聞いてみてください」と言うので、フィリピンからの
留学生ビンセントさんに「本当に初心者なの?」と
いう疑問をぶつけてみました。CAD もWelding(溶接技術)もTAFE に入学し
て初めて学んだというビンセントさんが同コースを
選択した理由は、ズバリ将来性。「このコースは将
来的に永住権の道もあるため、オーストラリアでの
仕事と将来を考えて選択した」といいます。仮に永
住権の道を選択しなくても、フィリピンに帰国して
自分のワークショップをオープンするくらいの知識
とスキルはここで身に着いた自信があるとのこと。
彼がこのコースをスタートしたのは4 カ月前。測
定の仕方、器具の使い方などを少しずつ覚えていき、CAD も1
週間の中での授業数はかなりあるので自然と身に着いていっ
たそう。CAD さえ身に着けば、スキル自体は初心者にも難し
いものではないといいます。
ビンセントさんによるとTAFE で学ぶ魅力は、施設の充実度
や機材の新しさはもちろんのこと、教師の知識やスキルが常に
アップデートされていることで、オーストラリアで学べばグロー
バルなスタンダートスキルを学ぶことができ、母国で学ぶこと
との違いがそこにあるとTAFE を選んだ理由を語ってくれまし
た。実際、クラスは少人数制(コース全体で4クラス。うち留 学生は9人。科目によって異なりますが1クラス4〜5人)で、
先生がワークショップで一つひとつお手本を見せ、学生が実践
していくという授業形式。授業の60%以上は実技なので、仕
事にすぐ結びつくこともコースを選ぶ上で大きなポイントにな
ります。どんどん実践を積むことが大事なコースとして外で
仕事ができる時間帯に授業が設定されているため、コース中も
ワークエクスペリエンスで技術を身に着けていくことができま
す。実際、ビンセントさんは今パートタイムで鉄筋加工の仕事
をしています。職場のオーナーも彼の知識やスキルがどんどん
上達していることにすごく満足してくれているということです。ロッド先生が考えるこのコースの魅力はズバ
リ! 幅広い分野での仕事の需要だそうです。ワー
クショップでの仕事を敬遠する人も、CAD 技術
さえ身に着ければオフィスでのデザインスタッフと
しての仕事の需要がたくさんあるとのことです。女
性でも建築・工業デザイナーと
して活躍できる土壌は多々あ
ります。昔は一つの機械を溶
接しながら作る時は図面を書
いていたそうですが、今はすべ
てCAD によるコンピュータの
時代。CAD 技術は基礎であり、
かつ一番大切な知識なので、授
業では長い時間をかけてしっかり教えています。オーストラリアはまだまだインフラ整備が必要な場所や州によるプロジェ
クトがたくさん計画されている国なので、この技術を持っていれば活躍できる
場所はいっぱいあると思います。ビンセントさんのクラスメートには会計士
からの転職組もいて、チャレンジのしがいのあるコースだと思います。キャン
パスのフロア全体に広がるワークショップにはたくさんの機械やツールがあり、
一つひとつの機械が興味深く、思いのほかエキサイトしてしまいました。