TAFEで福祉コミュニティサー
ビスを学ぶ

 

今回ご紹介するのは福祉コミュニティサー
ビス(Welfare Community Service)コー
ス。このコースはさまざまな分野に分かれて
いて、大きく分けると以下のようなものがあり
ます。

  • 一般的な福祉全般
  • 仕事がない人・家がない人などをケアする
  • アルコール中毒の人をケアする
  • 薬物中毒の人をケアする
  • 家庭内暴力の被害者をケアする
  • 子供や若年層の福祉

“Welfare” は日本語では総括して“福祉”と訳されるので、日本人の中には老人ホームなどで働く介護士の仕事と混同する人も多く、Welfare での仕事
場所がよく分からない、この資格が自分の学びたいこと、働きたい分野と合っ
ているか分からないという問い合わせが少なく有りません。そこで今回は、
Welfare コースとは具体的にどういったことを学び、卒業後はどのようなキャ
リアが待っているかご案内したいと思います。

日本で福祉を学んだ人の就職で多いのは介護関係の仕事。身障者や老人
の介護施設にて福祉士、介護士として実際に介護ワークをする人が多いです。
オーストラリアのアシスタントナースコースで学ぶ内容が看護と介護、実際の
職場はナーシングホームが多いと聞いて、日本で看護経験がある人から、介
護の仕事もアシスタントナースで勉強するのですか? と聞かれることもあり
ます。

オーストラリアでWelfare の資格を取得すると、社会的弱者へのカウンセ
リングサポートという立場での仕事が目立ちます。仕事場所としては、コミュ
ニケーションクリニックやグループホーム、パーソナルケアなどです。

では、同コースではどのようなことを学ぶのでしょうか?

コース内で多くの時間を費やすのはケーススタディを用いてコミュニティス
キル、クライアントへのインタビュースキルを養っていく部分です。クラスで
しっかりスキルを上達させ、教師が各学生のスキル力をきちんと査定してか
ら一般社会でのワークエクスペリエンスをスタートさせます。同コースでは
160 時間の実習を行わなければいけませんが、Welfare の分野は多岐にわ
たるため、学生の興味のある分野で実習ができるようTAFE では実習のアレ
ンジは100% サポートしています。

仕事では、カウンセリングだけでなく、例えば住む家がなく困っている弱者
に宿泊場所の手配をしたり、病院や専門のカウンセリングが必要な人のため
の予約代行など、それぞれの人に必要とされているサポートを見極めて手配
ができる知識をしっかり実習で学びます。

以前はTAFE のWelfare コースは卒業後、永住権が狙えるということもあ
り、多くの留学生が学んでいたためクラスの規模も大きかったのですが、現在
はほとんどがオーストラリア現地の学生。少人数制で、留学生はクラスに3 〜
4 人です。将来的に福祉士の道に進みたいと思っている人ばかりなので、アッ
トホームなクラスになったことが逆に環境を良くしているといいます。

留学生の一人で韓国から学びに来ている学生は、Welfare を学ぶ理由と
して、韓国の社会事情があると言います。まだまだ女性や子供などの社会的
弱者への福祉が満たされているとはいえないため、福祉先進国のオーストラ
リアで学び、母国で女性の社会的立場の向上などのサポートをしていきたい
とこのコースを選んだそうです。

ヘッドティーチャーのエマ先生にコースの魅
力を尋ねてみました。

「接客業などは、お客様がリピートしてくれるこ
とが喜びかもしれません。けれどこの仕事は、
お客様が私たちのオフィスに来なくなった時が
私たちの仕事の成功であり、それが最大の喜び
なの。 なぜなら、私たちのところに来なくなっ
たということは、独り立ちをして人生を再出発
できたということだから。人の役に立つという
ことは、100% 相手の要求を全部自分が解決
しようとすることではありません。その人に必
要なサポートの内容を見極めて、的確にそのサ
ポートを受けられる場所や人につなげてあげる
ことが大事。人を支える仕事というのは時としてストレスを抱え込むこともあ
ります。だからコースでは私は学生にクライアントへのサポートスキルだけで
なく、自分自身をセルフマネジメントができるスキルもしっかり教えています」

私自身もカウンセリングの仕事を長年しているため、この言葉にとても共
感でき、インタビュー中とはいえ、Welfare に対する教師の想いを聞いて胸
に熱いものが込み上げてきました。

日本では2011 年の震災を境に望んでもいない境遇にある人たちが今も
なおたくさんいます。プロフェッショナルな立場から社会的弱者のサポート
をするWelfare という知識は、日本の現状にも必要とされているのではない
でしょうか。

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