英語をいつから勉強させればいいのか?
日本では小学校から英語教育を…という傾向になるにつれ、その前から英語を勉強させる家庭が多くなってるようだ。子供をバイリンガルにするために早くから留学させたいという問い合わせも多くなってきている。また長期で留学させるためにも、夏休みや冬休みを使って短期で英語環境に慣れさせたい、子供の適正をみるために2週間から1カ月くらいの短期で現地の学校に通わせてみたいという親もいるようだ。
私がEちゃんに初めて会ったのは今から4年前。お母さんが仕事でシドニーに来ることが多く、一度自分の子供たちを現地の学校に体験入学させたいと相談に来られた。お母さんの希望は将来的には現地の高校に長期で留学させたいが、自分の娘が海外で生活することが可能かどうか一度短期で挑戦させたいということだった。初めて親と離れての海外生活ということもあって、Eちゃんだけでなく、Eちゃんの弟も一緒に海外生活を体験することになった。2週間という短い期間だったが、私はこの2週間で子供の英語力の上達の早さを初めて体感した。Eちゃんの弟は当時小学校2年生だったが、2週間前は「Hello」も言えるか言えないか程度の英語力だったにもかかわらず、帰国日当日にはたくさんの単語を覚え、ホームステイの家族の前で私に披露してくれた。到着当日は英語が話せない上、極度の緊張でかたまっていた二人が、帰国日には家のピアノを弾いたりしてまるで1年くらい留学していたのかと疑うほどの変わりようだった。英語が話せない子供がいきなり現地の学校へ行くことが可能か? という私の不安は見事に外れ、子供の順応能力は大人の想像をはるかに超えることを教えてもらった。
今、私のオフィスには親子留学や子供の留学の問い合わせが多いが、このEちゃん姉弟との出会いが私たちスタッフの自信にもつながってる。これはあくまでも私の主観であるが、子供の留学とは決して英語上達のためだけではなく、人間形成の中で大切であろう「異との出会い」を経験することではないだろうか? 私たちの日本という国は幸か不幸か肌の色、目の色が同じであろう民族の中で生活し、「異」というものを拒絶と捉える向きがある。しかし、移民国家であるオーストラリアに子供の時代に留学することにより、「異」というものを共存ととらえることができるようになるのではないだろうか? またそのことを自然に体感できることが子供が留学する上で英語上達以上に意味のあることであってほしいと思う。2週間の短期留学を終えたE ちゃんが再び、シドニーにやってきたのは半年後。Eちゃんの高校留学がスタートした日であった。