高校を卒業して3年、アートセラピーを学ぶためにオーストラリアに留学することに決めたさつきさん。2008年2月からは念願のアートセラピーの勉強をするために大学院に進学する予定だ。
アートセラピーという言葉はあまり耳にしたことがない人がほとんどだと思うが、心理カウンセリングの一つでストレスやトラウマを持った人がうまく言葉で表現できない時、絵で表現をしてもらい、その人の悩みやトラウマを探り、コミュニケーションをとっていく心理カウンセリングになる。さつきさんがアートセラピーに興味をもったのは阪神大震災の年。阪神大震災の被災者の人たちにボランティアでアートセラピーをしてるドキュメンタリーを見たのがきっかけだった。さつきさんは小さいころから絵画を習っていたが、そのドキュメンタリー番組には感動という言葉だけでは表すことができないほど衝撃を受けた。大学は社会福祉学部に進学し、4歳から学んでいる絵画を通して福祉に携わっていくという決意をしたのもこのころだった。
海外で大学院進学を決めた理由は、今の日本ではアートセラピーを学ぶことができるのは専門学校か大学の教科の一部のみで、日本でこの分野を学ぶことには限界があると感じだからである。また大学を卒業して3 年、福祉の仕事をしてたが、日本では福祉はまだまだ先進国とは言いがたい状況で、法律と現場での狭間で揺れ動く介護士たちがたくさんいるようだ。
アートセラピーを勉強するためと、海外での福祉について知りたいという気持ちで望んだ進学は、決して簡単な道ではなく、全く英語が初心者のさつきさんはまずは英語という関門を乗り越えなければならなかった。1年間しっかり英語学校で英語を学んださつきさんは最近、英語の難しさを改めて感じたようだ。さつきさんいわく、「留学した当時は英語でコミュニケーションすら取ることができずつらかったが、今は英語を使ってエッセイなどアカデミックなことを表現することの難しさを感じます」。同じ英語を使うのでも、初めは英語が最終目的で、現在は英語はあくまでも何かをやり遂げるための手段でしかないということが分かったさつきさんは、入学した当時よりも一段としっかりしたように感じる。
今回大学院進学に当たって、大学院からポートフォリオ(作品集)の提出が義務付けられていたが、さつきさんの絵を拝見しただけの私でも心が癒されるような優しい絵だった。さつきさんはただ絵が好きというだけではなく、実際にオーストラリア大使館主催の「全国高校美術際」で特別賞、学校内でも特別功労賞を受賞するなど、周りからも評価されているアーティストなのだ。
大学院を卒業した後ももちろん福祉の現場に携わるさつきさんに、将来の夢を語ってもらった。「大学院を卒業して、オーストラリアでアートセラピストとしてのお仕事がしてみたいです。やはりオーストラリアは大学院での教育がある国なんで、専門職としての地位が確立してるからです。そして、一番の大きな夢は日本でアートセラピストとして独立し、起業してみたいと思ってます」さつきさんは今後留学を考えてる人たちに、「自分の武器を持ってる人は海外で強いと思う。自分の武器を見つけて、どんどんチャレンジしてほしい」とアドバイスをしてくれた。
語学留学をスタートさせて1年、このクリスマスホリデーに初めて日本に帰省する。さつきさんを100%応援してくれてるご両親とともに沖縄旅行に行くことが今からとても楽しみなようだ。またオーストラリアに来て日本のことを聞かれることが多く、せっかく日本に帰るのだから、少し日本のことを勉強したいなという気持ちもあるようだ。2008年からは念願の大学院進学。長年の夢を叶える日も遠くない。